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YOICHI ERIKAWA
襟川 陽一
コーエーテクモホールディングス
代表取締役社長
新しい面白さで もっと幸せに
世界のゲームファンの期待に応える
新スローガン「Level up your happiness」を制定
2023年に新しくコーポレートスローガン「Level up your happiness」を制定しました。このスローガンは、創業以来掲げてきたコーエーテクモの精神「創造と貢献」を、お客様との関係に焦点を当て、今の時代に即して捉えなおしたものです。心の豊かさや活力は、幸せの大切な要素と考えています。当社グループは、新しい価値、今までにない新しい面白さを創造して、世界中のお客様の心の豊かさに寄与貢献していくことを存在意義、パーパスにしております。これを世界中のお客様に向けてわかりやすくお伝えするスローガンといたしました。ゲームキャラクターがレベルアップしていくように、当社のゲームを通じて、お客様の幸せもレベルアップしていただきたいと考えております。
スローガンの源流である「創造と貢献」は、お客様から高い評価と声援をいただいてゲームソフト会社を始めた経緯や、社会に役に立つという仕事に初めて出会えたという気持ちが込められた言葉です。
私が1981年に初めて作ったゲームタイトル『川中島の合戦』は、武田信玄と上杉謙信が戦った歴史的事実を踏まえたシミュレーションゲームで、アクションゲームが主流だった当時、それまでにない"考えて楽しむ"タイプのゲームでした。その新しい面白さに大きな支持をいただきました。その後、「第二作目を早く作ってください」「もっと歴史のゲームを作ってください」といった要望に応えるために、継続してゲームを作れるゲームソフト専業の会社としてスタートしました。
世界No.1企業へ──過去最高の業績を達成、さらなる成長へ
2023年度は、コーエーテクモグループ全員の頑張りによって、売上高845億8,400万円、営業利益284億9,400万円、経常利益457億4,100万円、当期純利益337億9,200万円となり、売上高は過去最高となりました。さらなる成長に向けて歩みを進めるため、AAA(トリプルエー)タイトルの創出や500万本級パッケージゲーム、月商20億円のスマートフォンゲームにも引き続きチャレンジしています。
当社は2022年4月に東京証券取引所のプライム市場に上場しました。グループの長期ビジョン「世界No.1のデジタルエンタテインメントカンパニー」を実現するためには、上場企業に求められる高いガバナンス体制が重要と考えているからです。デジタルの時代において、世界中のお客様の心の豊かさや活力を生み出すことに寄与貢献する、世界No.1のデジタルエンタテインメントカンパニーへの道筋に大きな手応えを感じています。
みなとみらいから世界へ発信
2020年の春には、コーエーテクモゲームスの新本社ビルが横浜・みなとみらいに完成しました。「みなとみらい」という名前自体が、21世紀にふさわしい未来型都市を実現するというコンセプトで作られていて、世界に文化や情報を発信していくことを目指しています。みなとみらいのコンセプトに合う形で、当社はこの地からオリエンタルな世界観を持ったタイトルを世界のゲームファンの方々に向けて創発していきます。
社会のあり方は、コロナを乗り越えながらビジネスを拡大していくステージになりました。私も社員が安心安全な環境のなかでベストなパフォーマンスで成果を上げられるように、仕組みや環境を整えています。感染拡大防止のさまざまな要請に応えていきながら、収益性と成長性を創り出していくのも会社の使命です。フレックスタイム制など、さまざまな対処を行った上で稼働状況を100%にキープしています。
女性の活躍についても当社は長年取り組んできました。1994年には業界初となる女性向けゲームを発売していますが、これは女性社員が集まって作ったタイトルでした。現在も女性社員が主体となって女性向けゲームを開発しています。また、ライフスタイルの変化があっても活躍してもらえるよう、出産・育児の休暇を充実させています。男女の別なく、そしてさまざまな国の社員が集まり、力を合わせて世界No.1を目指しています。
新しい面白さでもっと幸せに
当社の商品コンセプトとして「クオリティ&サティスファクション」を掲げています。これはユーザー目線のコンセプトなのですが、この理由は私が筋金入りのゲーマーだからです。私はクリエイターであり、ゲーマーでもあって、いつも新しい面白さを持ったゲームを楽しみたいと願っています。ゲームファンの方々の気持ちもまったく同様だと感じています。ゲームファンの方々が素直に喜び楽しんでくださる上質で最高のゲームを作ることがゲーム会社の役割であり、存在意義でもありますので、それに向けて頑張っています。評価サイトのMetacriticや雑誌のファミ通などで高得点を取ることが、具体的な目標になると考えています。
社会貢献活動
学術研究でのゲームの活用を支援するために、1994年に公益財団法人科学技術融合振興財団(FOST)を設立しました。私は当初から理事長を務め、個人的に上場で得た資金を、ゲームを活用した教育や研究活動に使っていただきたいという思いで、これまで4億円を超える金額を教育支援活動や研究助成に提供してきました。ゲームが広く社会に受容されていくなかで、FOSTが支援したゲームに関する多くの研究成果を基に、よりよいゲーム産業となることを目指して活動してきました。そのためにも学術研究への助成は変わらず続けていきたいと思います。SDGsといった企業市民として社会の要請に応える活動とともに、ゲームがより社会に役立つ存在であるために、社会貢献活動には積極的に関与していきます。
ゲーム業界には活躍できるステージがある
最近は大学での講演が増えました。今までに東京大学、京都大学、東京工業大学、慶應義塾大学、早稲田大学などで講演し、他の多くの大学からも要望をいただいています。また、社会人向けの講演として、慶應義塾大学ビジネススクールで国外の方に講演も行いました。
講演では、伸びていく業界や会社で頑張ることがやりがいや生きがいに通じると話しています。私は染料工業薬品の業界で生まれ育ち、落ち込む繊維産業のなかで一生懸命頑張ったのですが成果には結びつきませんでした。それに対して、拡大発展していく業界や会社は、思いきり頑張ると必ず成果に結びつく。当社は継続的に業績が伸長し、世界のゲーム産業自体も、私が1980年にゲームの開発に携わるようになって以来、基本的に成長を続けています。当社の採用サイトを見られたということは、ゲーム業界に興味があるからだと思いますが、決して期待を裏切らない活躍の場を、ゲーム業界はあなたに提供します。そのなかでも、オリエンタルな歴史や文化をテーマにしたゲームを過去40年間にわたって作り続けているのは世界的に当社だけです。日本やアジアのすばらしい文化を世界に発信していける醍醐味を感じてほしいと思います。ぜひ当社で一緒に活躍してください。
代表取締役社長
襟川 陽一
えりかわ・よういち/栃木県生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、(株)光栄を設立。元々染料工業薬品販売を営んでいたが、パソコン購入を期に、自力でソフトウェアの開発やゲーム開発を始める。本業の傍ら制作した「川中島の合戦」がヒットしたことで本格的にゲーム制作ビジネスを始動させ、名作「信長の野望」や「三國志」などのIPを生み出した。2009年4月にゲームソフト会社のテクモ(株)と経営統合し、(株)コーエーテクモホールディングスを設立。全世界で300万本を超えて出荷したダーク戦国アクションRPG『仁王』では、ゼネラル・プロデューサーを務めた。