HISASHI KOINUMA
鯉沼 久史

互いに切磋琢磨し、成長していく開発体制

　コーエーテクモは現在6ブランドによる開発体制を敷いています。互いに協力したり競争したりと、よい緊張感を持って仕事に取り組んでいます。また、ブランド毎の計画や方向性があり、それぞれの目標に向かって進んでいます。シブサワ・コウでは、シミュレーションと歴史、ω-Forceは無双シリーズを始めとしたカジュアルなアクションゲーム、Team NINJAでは、仁王やWo Longなど歯ごたえのあるアクションゲーム、ガストは「アトリエ」シリーズを始めとしたRPGが強みで、ルビーパーティーでは主に女性向けに、midasは当社として新しいジャンルに柔軟にチャレンジをするといったように、良い形でブランド制が伸長しています。
　このバランスの良い開発体制を築きつつ、さらなる成長の鍵としてAAA（トリプルエ－）クラスの新作大型タイトルをコンスタントに創出していくため、2024年4月にはAAAスタジオを新設しました。AAAスタジオを筆頭に、毎期大型タイトルを発売できる体制作りも進めていきます。

グローバル市場で戦える体力

　私たちは現在、グローバルIPの創造と展開を重要な経営方針とし、世界中のより多くのお客様に当社のゲームソフトを楽しんでもらうことを目指しています。グローバル市場で戦うためには、しっかりと制作費をかけてゲームを開発する必要がありますが、おかげさまでゲームがヒットしその収益を使って開発をするといういいサイクルが回っています。別の言い方をすれば、地に足を付けて成長を続けてきた結果、コーエーテクモはグローバル市場に向けて戦えるタイトルを作れる規模になりました。また、海外においても、市場や協業などの新しい仕事の枠組みを開拓することで、引き続き成長できると考えています。国内で進めてきたさまざまな新しい取り組みを、海外でも実践していきたいですね。

世界に向けてIPを展開

　グローバルにエンタテインメントコンテンツを供給するということは、同時並行で各地域への対応が必要で、AAAタイトルを数多く創発するためには、1タイトルあたり多くの人員が必要になります。そのため、ここ数年来開発体制の拡充を進めています。

▲『仁王2』

　グローバルIPの創造では、『仁王2』のように着実に成果が出てきました。近年は、からくりを駆使して戦うハンティングゲーム『WILD HEARTS』や、「三国志」を舞台にしたダークアクションRPG『Wo Long: Fallen Dynasty』を発売し、多くの方に遊んでいただいています。また、2024年3月には「幕末」を舞台にしたオープンワールドアクションRPG『Rise of the Ronin』を発売しました。他社IPとのコラボレーションや協業についても、グローバルで成功例を築けているので、今後もその流れを続けていきます。
　また、IPの活用も進んでいて、中国で当社IPを使ったスマートフォンゲームがランキングで連続して上位に入るなど大ヒットが生まれています。海外でも当社のIPやブランドをとても高く評価してくださっていて、これがビジネスにつながっています。お客様も数百ある三国志ゲームのなかから、当社IPのものを選んでくださるなど、これまで培ってきたブランド力を感じています。
　IPの創造を縦軸とするならば、IPの活用は横軸のような関係です。IPを活用したビジネスの下支えがあるからこそ、グローバルIPの創造と展開にしっかりとまい進できるのです。縦軸と横軸がしっかりとからみ、よい循環ができてきました。