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Wall Street Journal記事

本コンテンツは、WSJ Custom Studiosによって制作されたオリジナルコンテンツの和訳です。(2021年7月12日配信)
Written by The Wall Street Journal Custom Studios, 2021

WSJ Custom Studios

ゲーム業界で40年近く活躍し、IPへの革新的な取り組みで成功している日本企業が、新たな目標としてグローバル展開を目指します。

新型コロナウイルスの感染拡大によるロックダウンの影響でデジタルエンタテインメントの巣ごもり需要が高まり、ハードウェア、ソフトウェアの販売が世界中で記録的に伸長しました。世界のゲーム市場規模は2023年までに2,000億ドルを超える見通しです。

コンソールから始まり、モバイルとオンラインも手掛けるなど、40年以上の歴史がある日本のゲーム開発会社のパイオニア、コーエーテクモはチャンスを逃しません。最高経営責任者(CEO)の襟川陽一氏は、「世界No.1のデジタルエンタテインメントカンパニー」としての地位を確立するという野望を持ち、新しいゲーム市場――欧米のコンソールゲーム市場やアジアのモバイルゲーム市場――に拡大する壮大なビジョンを描いています。

コーエーテクモは、定期的な自社開発タイトルのリリース、任天堂などの大手ゲーム会社とのコラボレーション、そして2017年以降のIP許諾事業という、3本の柱で構成された戦略で11年連続の増益を達成しました。襟川氏は「40年育んできた当社のIPが、IP許諾事業を通じてアジアで花開いています」と語ります。これら3本の柱がコーエーテクモの「重層的な収益構造」を生み出しています。

「当社は新しいジャンルに挑戦し続けます――バーチャルリアリティと5Gには、無限の可能性があります」

コーエーテクモは、定期的に新作を発売し、長年に渡ってさまざまなシリーズを創発することで、ロイヤリティの高い顧客基盤と、単一のヒットタイトルに依存しない安定した利益を生み出してきました。オリジナルタイトルの継続した人気が、新しい領域への参入に際しての自信になっています。『仁王』――2017年以来300万部以上を売り上げた、侍をテーマにした"死にゲー"アクションゲーム――、『三國志』――1985年に誕生した、漢王朝・晋王朝時代間における王国同士の戦いを題材にした歴史シミュレーション戦略ゲームシリーズ――などです。

過去10年間で、コーエーテクモは主要なゲーム会社との提携を進めてきました。「コーエーテクモの優れたゲーム開発力とパートナーのIPの力を組み合わせるコラボレーション戦略によって、タイトルが成功する可能性が高まります」(襟川氏)。

直近では、2020年にリリースされた『ゼルダ無双 厄災の黙示録』が成功例として挙げられます。コーエーテクモの無双スタイルと任天堂の『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の世界を組み合わせることで、370万本以上の売り上げとなりました。

また、アクションゲーム『MARVEL ULTIMATE ALLIANCE 3: The Black Order』は任天堂、マーベルとのコラボレーションで、コーエーテクモとしては初の海外IPによるタイトルです。

「三國志」IPの許諾でアリゲームスが開発した『三国志・戦略版』は、中国で大ヒットし、台湾と韓国でもリリースされました。「当社のIP許諾事業は急速に成長しています」(襟川氏)。

「コラボレーション戦略とIP許諾事業は当社の強みであり、他社にはない特徴です」。襟川氏は熱心なゲーマーであり、ゲーム開発と経営の両面で積極的、創造的、実践的な役割を果たしています。こうしたことはゲーム業界では珍しいことだと同社はいいます。

勝利の方程式を磨き上げる

襟川氏は「世界のゲーム産業の黎明期」からゲームを考案し続け、開発を主導しています。1983年にはターンベースの戦略RPG『信長の野望』をリリースし、その後のシリーズ化によって「歴史シミュレーションゲーム」というジャンルを確立しました。

襟川氏の戦略やプロジェクトに関するマネジメントスキルに加えて、ゲーム文化に深く根ざした経験が、コーエーテクモの強みとなっています。社内で開発された技術によって、コーエーテクモは競合他社と一線を画しています。特にコーエーテクモのKatana Engine™は、効率的なマルチプラットフォーム開発を可能にしており、一つのタイトルを、PlayStation 5、Xbox Series X | S、 Nintendo Switch、Steam、スマートフォンなどの複数のプラットフォームに提供することができます。さらには、グラフィックスを強化し、ゲームの中で戦略や戦術を生み出す人工知能(ゲームAI)を制作することも可能です。

「当社には "Future Tech Base"という研究開発チームがあり、6つある社内ゲームスタジオにゲーム開発のフレームワークを提供することで、効率的なゲーム開発を推進しています」(襟川氏)。

中期的には「コンソールゲーム事業に加え、IP許諾事業や自社モバイルゲーム事業を展開することで収益拡大に取り組みます」

「世界No.1のデジタルエンタテインメントカンパニーになるというビジョンの一環として、GPSゲームやバトルロイヤルゲームなどの新しいジャンルに挑戦します」

襟川氏は、技術の進歩によって垣根を超えていくゲーム業界の将来に興奮しています。「バーチャルリアリティと5Gには、無限の可能性があります」。

襟川氏は、コーエーテクモがグローバルリーダーになるステップは明確で実現可能と考えています。最も重要視する次のステップは500万本級コンソールタイトルの実現です。現在、『仁王』を超える美しいCGグラフィックスと魅力的なストーリーを備えた最新のゲームを開発しています。「このタイトルを完成できれば、750万本、1,000万本も目指せます」(襟川氏)。

「当社は重層的な収益構造を持っており、新規IP、コラボレーション、IP許諾事業を通じて、世界でさらなる成長を実現できると確信しています」

さらに襟川氏は続けます。「当社は強みを活かしてグローバルに拡大していきます。これまでのように着実に目標を達成することで、私たちのビジョンを実現できると確信しています」

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